「したじゃん!階段のところで!!めっちゃビックリしたんだよ!?」

「階段・・・?」

「とぼけないでよ!したよ、した!」


この人は記憶力がないのだろうか。


・・・にしても。

改めて思うと、やっぱり不思議な状況だな。
あたしがヤンキーと普通に話せてる、っていう奇跡が起こってるなんて。


「・・・あ」

彼は、思い出したように口を開いた。


「ね?したでしょ?だから、逃げたんだよ」

あたしはちょっと勝ち誇った気分になって、腰に両手を当てた。

彼はそんなあたしを見て、笑い出す。

「ははっ、なんだそれ!」

「え、ちょっと、なんで笑うの!?」


彼はお腹を抱えて、大爆笑。

その姿に、ちょっとドキってしたり。


「だってあれ、お前がこけそうになったから、支えようとしただけ・・・」

彼はそう言うと、またもや大爆笑。


それに対して、あたしは固まってしまった。

え?

あれ、壁ドンじゃなかったの?