・・・でも、これは困るな。
さっきまで柊があたしを支えていてくれてたんだけど、今はそれがない。
つまり、足を捻挫しているあたしはもう、容易に歩くことが出来ない。
柊を見送った後にそのことに気付いた自分はやっぱりバカだなと、我ながら思う。
・・・ど、どうしよう。
ああ、こんなことなら、柊を助ければ良かったかも。
「うーん、どうしよっかな」
そう言いながら、辺りを見渡す。
「………あ」
そうしている内に、あたしの目は、ある人を捉えてしまった。
ヤバい、あの人苦手だ。
あたしはすぐに目を逸らした。
ヤンキーと言われる人たちはみんな、何人かで溜まっている。
けど、あの人は違う。
いつも、金色の髪をなびかせながら一人で颯爽と歩いて行く。
顔は美形で、なんと、ファンクラブもあるらしい。
本当にカッコいいのに、何故かいつも一人。
少し悲しそうな黒い瞳は、いつも下を向いている。
耳にはピアスが2つ。
いつもイヤホンをしてる。
その姿はまるで、周りをシャットアウトしてるようだった。
こういう人を、一匹狼というのだろうか。
でも、やっぱりヤンキー。



