・・・なのに。


こんなにドキドキして。

なんか、恋してるみたいじゃんか。


あたしは、髪を耳にかけた。


あたし、やっぱりおかしいみたい。

ずっと、ドキドキが止まらない。

彼といると、ずっと。


ダメだ、このままじゃ・・・


「どうかした?」

あたしの顔を覗きこんでくる彼。


ほら、変なところが優しい。

足痛くないかって気にしたりさ。
・・・てかもう、足が痛かったことなんて忘れちゃったよ。


「・・・別に」

「ふーん・・・」

そういえば、昨日はあんなに痛かったのに、足もう痛くないなぁ。


「なあ、すげぇ話戻るんだけど、壁ドンってなに?」

「え?」

すっかり忘れていたことを、彼は今更になって聞いてきた。

なんか、色々ありすぎて、私もよく分かんなくなったよ。


ヤクザはどこかに行ったし学校もサボるからか、一段落ついて落ち着いたあたし達は、壁に凭れかかって話をしだした。

あたしの心はドキドキしてて落ち着いてないんだけど。