「はぁ・・・」

あたしは、朝から憂鬱だった。

昨日、あたしはすごいことを体験してしまった。
苦手なヤンキー、高野凌我と話してしまい、おんぶされてしまい、なんと、壁ドンまでされてしまった。

その後、走って教室まで帰ったんだけど、すぐに保健室に行った。
足がそれはそれはすごく痛かったからだ。
ものすごい激痛に襲われて、あたしは教室に入った瞬間、床に座り込んでしまった。
友達の何人かがそんなあたしを心配して、保健室に連れて行ってくれたんだ。

保健室の先生にはとても怒られた。
でも、仕方ないと思う。

結局すぐに教室に戻ったけど、あたしの足はズキズキと痛んでいた。

だけどそれ以上に、胸が苦しかった。
何度も、頭の中で〝あのこと〟がリピートされた。

金色の髪も。
あの綺麗な顔も。
石鹸の香りも。

全部鮮明に覚えていて、何度も思い出してはドキドキした。
頭からどうしても離れなかった。

学校から帰っても、それは変わらなくて。
忘れようと思っても、無理で。

大好きなご飯も、喉を通らなかった。
・・・完食したけど。