あたしは、口を右手の甲で押さえた。
これはあたしが、驚いた時とか怒った時にする癖。

彼は、驚いたようにあたしを見る。

「なにす・・・」
「あ、あたし!そ、そういう人嫌い!」
「はあ?」

恐くて恐くて、ついに涙まで出てきた。

「お前、なんで泣いて・・・」

恐い。やっぱり、こういう人は苦手だ。
なのに、ちょっとでも魅かれたなんて・・・!
今日のあたし、ちょっとおかしい。

「・・・っ」

あたしは痛い足なんて気にせず、走って階段を下りて行った。

「・・・お前!足!」

そんな声は、無視した。


何が何だか分からなかった。

ヤンキーなんて、大嫌いで。
あんなことされて。

カッコ良かった。
でも、恐かった。
あたしには、やっぱりまだ早い。

なのに、なんで?