でも、確かに。

彼の両手は、あたしを挟んで壁についていて。
あたしは彼によって、動けないようにされていて。

彼の顔が、すごく近くて。
きれいな顔がすごく近くで見えていて。
その顔は、少し辛そうに歪んでいた。

これって、俗にいう・・・

か、壁ドン!?

だって、右にも左にも彼の手。
彼は、やっぱりクールな顔。

彼を、目を丸くしながら見つめる。

こ、恐い・・・。
これからあたし、何されるの?
もしかして、ここに来たのってわざと?
男の子ってやっぱりみんな狼なの?

な、ななな・・・

「・・・あっぶねぇ」
「い、いやー!!」

あたしは、彼を思い切り押した。
彼はよろけそうになって、あたしから離れた。