あたしは大声を出して驚く。
だ、だって・・・
乗れって言ったよね?この人。
おぶられろと?
いや、確かに、誰かに助けてもらいたかったけど・・・。
でもあたし、貴方にはちょっと・・・。
「いや、いいです!」
「いいから乗れよ」
彼はそのままの体勢で振り向いてあたしを見た。
その顔と低い声が、あたしを睨んでいるように感じて。
断りたいけど恐くて無理だと、悟った。
「じゃ、じゃあ・・・」
あたしは恐る恐る彼の背中に乗った。
あたしは結構重いはずなのに、彼は簡単に立ち上がった。
すると、周りからキャーと悲鳴が上がる。
「軽っ」
彼はそう少し驚いた後、あたしを背負ったままあたしの教室の方に歩き出した。
え、あ、い、お、う・・・
ああ、またあ行コンプリートしちゃった。
それにしても、初めてこんな高い所から学校の景色を見たなぁ。
いや、あたしの背が小さいからなんだろうけど。
今まで見ていた景色より、この景色がすごく綺麗に感じた。
あたしはそっと、彼の首に視線を移す。
ネックレスをつけているらしく、首には銀色の線が光っている。



