邪魔って言われても、動けない。
それに、廊下そこまで混んでないんだから、あたしを避けて通ればいいじゃん。
でも、多分キレられてるし。
恐いし。
キレてなさそうなキレ方が、すごく。
とても冷たい目であたしを見る彼。
恐いの極み。
あたしは痛い足を無理やり動かした。
「ご、ごめんなさい・・・いたっ」
やっぱり足が痛む。
激痛だ。
でも、彼にキレられるよりは全然いい。
一刻も早く、彼の冷たい目線から外れたい。
だから彼が通れるようにしたけど、彼は動かなかった。
ど、どうして?
まだ何か、お気に召さないことが?
あたしは彼を見る。
彼も、あたしを見ていた。
どんな表情してる?
・・・って、無表情だよ。
「あ、あの・・・」
もしかして、表出ろやということですか?
あの、女なんですけど、あたし。
「・・・お前、足どうした?」
「えっ・・・?」
けど、あたしが思っていたこととは全然違うことを、彼は聞いてきた。
思いもしなかった彼の言葉に、あたしは驚く。



