「あ、あった。これ、貼って待っててください。すぐ来ますから」



棚から出してくれた冷却シートを受けとる。



バタバタと出ていく俊介は、なんだか私が初めて知る俊介だと思った。


いつも冷静沈着で、潔癖症で、科学の事になるとお喋りになる彼。


でも、潔癖症なんてそっちのけで私の事を心配してくれて。


優しく微笑んでくれた。



ローテーブルに、飲みかけの珈琲と眼鏡が置き去りにされているのを見つけてしまえば。


私の為にこんなに、慌てているんだって…



痛いくらい、思ってしまう。


嬉しくて、昨日の絶望が嘘みたいにぶっ飛んでいく。


「瀬戸さん、あ…まだ貼ってないじゃないですか!」


「俊介…」



離れたくないって…思っちゃうよ…。



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