そして、テレビで彩美との熱愛が報じられたせいで、仕事が一週間の謹慎処分となってしまった。


もしかしたら研究チームも外されてしまうかもしれない。


「なーんだ…食事の誘いかと思ったのに、苦情ですか」


「一言文句を言わなきゃ気が済まなかったんだ」


「研究チーム外されたら、こっちに来ればいいよ」


「断る」


僕はそのまま電話を切った。

着信履歴をふと見ると、瀬戸さんの名前がずっと並んでいる。
毎日電話が来ていたのだから当たり前だけれど。

やっぱり、あの『さようなら』はそういう意味なのだろうか…

今日は何も連絡がない。


いつの間にか、非日常だった瀬戸さんからの着信が日常と化していた。

元に戻る、それだけのことなのに。


心に引っかかっては、喉元をぐっと締め付ける。


そうして苦しくなる。今までこんなに携帯を気にしたことがあっただろうか。



ドリップした珈琲を啜りながら、窓の外を見た。

雪が降り始めていて、一面を白で染めていく。

明日の朝には積もるだろうな…



謹慎になった今、本来なら頭を抱えて他に何も考えられない…はずが。


僕は、あの雨の日を思い出していた。


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