「不思議だよね…どうして、悲しい時って涙が出るのかな…」


こんな時に限って、彼の理屈っぽさを求めてしまう。

私の人生って、幸せになれない運命なのかなとさえ思う。


彼氏に振られて、一目惚れした恋もすぐに失恋なんて…さすがにもう疲れた。


「悲しい感情によって涙が出るのは…いくつかの説があります」


真面目に答えてくれる彼は相変わらずだと思い、少し笑ってしまうけれど耳を傾けた。


「※フレイ博士は、ストレスによって生体に生じた有害な化学物質を“感情”による涙によって排出していると考え、生体の科学的バランスを回復させていると説いています…。"感情による涙"は科学で証明されていなく、まだ研究中なんです」


「へぇ…」


「僕は、自律神経と交感神経や大脳皮質との関係も興味深いとは思いますけど、証明されてなくてもいいと思ってます。
感情は人それぞれありますし、人間だけが持つ現象ですから、理由は人間の数だけあってもいいのかもしれません…答えがひとつじゃなくてもいい、なんて…僕らしからぬ考えですけどね」


本当に、この人は科学の話になると…


「あたしが、悲しいって思ったこの感情の理由は…」



※参考 子供の科学編集部(2013)『子供の科学 2013年2月号』(誠文堂新光社)

※ 子供の科学のWEBサイト『コカねっと!』


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