ある秋の日のこと。
わたしはいつも通りミヤとアキナと過ごしていた。
昼休み。わたしは今朝、靴箱に入っていた手紙を見直した。
『昼休み、屋上に来てください。大事な話をしたいので… 待ってます』
名前はなかった。だけど、とても丁寧な字で、そこから誠実な男子生徒が浮かぶ。女子生徒では無いだろう。これは所謂、ラブレターなのだから。
「つーぼみ、ご飯食べよ♪」
「え…、ぁ…。ごめん。わたし、行くとこあって」
「え?何?アタシらも一緒に行くよ」
「いや、大丈夫。すぐ戻るから、さき食べてて」
あえて二人には手紙のことを言わなかった。変に騒がれるのは面倒だし、早く行って早く済ませたかった。
小走りに屋上への階段を上がって、古びたドアを開ける。ギシッと高い音を鳴らして開いたドアの先には、セーターに身を包む彼がいた。
「ごめん、待った?」
「いや、俺もついさっき来て…」
彼は照れ臭そうに頬を掻いた。
秋の、まだ残暑がある日のことだった。
「俺、2年の早乙女 大地って言います。えっと…、鹿屋野さんだよね?」
「鹿屋野 蕾です」
言いながら距離を詰めてくる彼、タイチ。
