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電話の着信音。



「はーい」



相手を確認する前に電話に出てしまうのは携帯を買ってもらった時からの癖。



「もしもし、花音?」



お母さんの声が聞こえた。

「なあに?」


「海斗いる?友達と一緒かもしれないけど美希ちゃんがどうしても海斗に会いたいってことなの。伝えてくれる?家で待ってるって言ってたから」



海斗っていうのはお兄ちゃんで、

お母さんが言う“美希ちゃん”は
お兄ちゃんの彼女さんなんだぁ。

美希さんは超美人さんで、可愛くて、オシャレで優しいんだあ。



「わかった」




「ごめんね。海斗、お母さんの電話にも美希ちゃんの電話にも出ないのよ。じゃあ切るわね」



お母さんとの電話を切って自分の部屋を出た。