伝えたい想いを抱き始めたのは、彼女と出会ってすぐのことだった。
「初めまして」
優しい声が室内に響く
今日は、新人作家が収録に来る日だ
でも、明らかに室内に響く声は作家にはもったいないほどの価値があると思った
まぁ、個人的な意見だけど。
女にしては、低い声
堂々としていて、優しい温もりを感じる
「よろしく」
「はい」
冷静というか、色々と真剣に取り組む性格なんだろう。
早々に挨拶を切り上げ、案内された席で静かにノートを開いて何かを書き込み始めている。
台本は、新人作家である彼女の手元に一冊置いてあるが、目には入っていないようだ