5日だけの二人

そういえば、前に彼女を見た時も、ソフトクリームは一つしか食べてなかった事を男は思い出しながら、
「わかった、なら貰うよ。」
そう言って食べはじめた。
「俺も一つ聞いていいか?」
男は彼女を見る事無く、ベンチの隣に座りながら聞いた、
「さっきの電車に乗らないといけないって言ったよな? 何で知ってるんだ? いつも見ていたのを覚えていたのか?」
その言葉に彼女は頷いた。
「うん、そうだよ。 毎月5日に現れるあなたは、いつも私を見ていたから。」
少し嬉しそうに男を見り彼女は、年齢よりは大人に見えた。 とは言っても、彼女から歳を聞いた訳ではないから実年齢はわからないが。
「そうか、毎回5日か。 どうやらお互いにタイミングがずれてるんだな。」
彼女はそれを聞いて首をかしげるが、男は構わずに続ける。
「俺の電車は行ってしまったけど、そっちは大丈夫なのか? 学校は?」
その言葉に彼女は男から目を逸らす、
「行ってない…」
それだけつぶやいて下を向いた。
「そうか、変な事聞いたみたいだな、悪かった。」