光一とミカが、桐山の店で食事をした日から3日後の金曜日。 仕事を終えた光一は、帰宅するとすぐに着替えて再び駅まで車を走らせる。 駅のロータリー付近に車を停め、近くのベンチに腰を下ろすと携帯を開く。
“こちらは駅に着きました。”
短分のメールを打ち、ミカに送る。 今日はミカと映画を見る約束をしているのだ。 直接家の付近まで迎えに行こうか?と言ったのだが、それでは近所の人に見られた時に説明しにくいと言われた為、初めて二人が出会った駅で待ち合わせとなったのだ。 そしてしばらくした後、
「お兄ちゃん、お待たせ。 遅かったかな?」
駅の改札を出たミカは、すぐに光一の姿を見つけて歩いてきた。
「大丈夫。 そんな事無いよ。 それじゃ行こうか。」
立ち上がった光一はミカを車に乗せ、近くの大型レジャー施設に向かった。
その車内にて、
「ねぇ、お兄ちゃんのこの車って格好良いね。 なんか高そうな感じするし。」
意外にも車に興味があるのか、ミカは車内でキョロキョロしながら楽しそうに言った。 それに気を良くした光一も自然とテンションが上がる。