【同時刻、光一の会社にて】
部下達が全員外回りに出掛け、自分の仕事が一段落ついた頃、光一の上司である森課長は一枚の写真を眺めていた。 それは半年前に事故で亡くした息子の写真である。 それから森課長はデスクの引き出しを開け、中から古い新聞を取り出した。 それは事故の記事が載っており、内容をゆっくりと読んで行く。 そして、死傷者リストの途中で視線を止めた。 次に自分の携帯を開き、中のデータを呼び出す。 それは今朝光一に見せていた写真であり、森課長自身が撮った物だ。 そのデータと、新聞記事、それから最初に見ていた写真をそれぞれ見比べる。しばらく見ていた森課長は、やがて顔を上げ、
「いや、そんなハズは無いな。」
そうつぶやくと、新聞と写真を再び引き出しに戻し、自分も外回りに出る為に部屋を後にした。