５日だけの二人

変に追求されなくて助かった、多分妹か何かだと思われたんだろう。 しかし、あいつに見られていたって事は、他にも誰かに見られているかもしれないな。 などと考えた光一だが、しばらくの後に、自分は別にやましい事なんて何も無いんだから、そんなに気にしなくてもいい事に気が付いた。 そうだよな、俺は二十歳でミカは中学生、どう見ても兄弟にしか見えないに違いない。そんな事を考えながら光一は、さっさと自分の所属部署がある部屋に歩いて行った。
いつもと同じ様に席についた光一は、向かいに席を構える人物を見てハッとなる。
「森課長、お久しぶりです。 お体はもうよろしいんですか？」
少し慌てながら光一は立ち上がる。
「ああ、もう大丈夫だよ。 いろいろ負担をかけたみたいだね、ありがとう。」
森課長も立ち上がり一礼をした。 実はこの森課長、半年ほど前に息子を事故で亡くし、そのショックで体調を崩てしまったのだ。 光一にとっては信頼できる上司だったので、割と頻繁に見舞いに行ったりしていたのだ。