たとえ誰かを傷つけても

「柊真・・・サンキュ!」

俺の声に柊真はちょっと照れたように笑った。

「おれはさ、りーちゃんの優しいところ、人のいいところ、面倒見のいいところ・・・一緒にいてホッとするところが好きなんだ」

「・・・うん・・・」

「よく考えると八神君に似てるんだよなー うん。だから俺、りーちゃんのこと好きになったのかも・・・」

「うん・・・って・・お、おい、柊真! お前その気はなかったんじゃ・・・」

あたふたしている俺に柊真はニッと笑った。

「男でも女でも俺の好きになる基準は一緒なの。」

そう言って柊真は軽くウインクをよこした。
うっ・・・決まっている・・・こいつやっぱかっこいいかも・・・

「風邪ひくぜ! とっとと帰れよ! にいちゃん」

柊真は軽く手をふって、家へと帰っていった。

「サンキュ・・・」


俺はその後ろ姿にもう一度つぶやいた。



許してくれるかどうかは分からない・・・
でももう自分を偽らず、りーちゃんに謝って正直な気持ちをちゃんと伝えようと思った。
それが俺の親友に対する最大の礼儀だとも思うから・・・


俺はゆっくりと空を仰いだ。
冬の夜空には、たくさんの星がまたたいていた。







                                -THE END-