獣は小鳥に恋をする

それからの俺は、彼女の声を朝聞いて、授業はサボり、放課後には教室に戻るようになっていた。



そして今日も俺は抜け出す。



放課後になって、生徒が帰り静かになった校舎を、一人寂しく歩く。



誰も俺の事など気にしない。



しかし彼女だけは。



授業に出なくなっても、彼女は変わらず声をかける。



『おはよう、如月くん』

『授業出てないけど大丈夫?』

『顔色悪くない?』

『具合が悪いの?』



それも自分を心配してくれている言葉ばかり。



なにか言葉を返したいけど、こんな事初めてでうまく返せなかった。



まだ顔も見れていない。



だけど今日、朝のホームが終わり、授業を抜け出そうと立ち上がったその時、ふと視線を感じた。



彼女が悲しそうにな顔をして見つめていた。



そんな気がした。



俺はそのまま逃げるように立ち去った。



そうしないと耐えられなかった。



胸が何かで縛られたように苦しくて。



始めてみた彼女の表情が頭から離れなかった。



何度も思い出してはため息をつく。



俺がああいう顔にさせているんではないだろうか。



後悔と苦しさを感じながら教室の前に立つ。