獣は小鳥に恋をする











つぎの日。



「澪おはよー」



「おはよう!...あ、」



学校の教室へ向かうと、視界の端には葵が。



それを目にしたとたん、頬に熱が集まったのが分かった。



昨日はあのまま、何となく気まずい感じになって特に何も言わずに帰った。



少しだけドキドキとしながら自分の席へと向う。



椅子を引くとカタリと音がなり、いつものように机に伏して眠っていた葵の肩がわずかに揺れた。



(起きてる...かな...)



その小さな反応を見てそう感じた澪は思い切って声をかける。



いつも通り。



そう、心がけて。



「如月くん、おはよう」



きっと彼もいつもと変わらず、ただ何も返さずに聞き流すのだろう。



それでも良かった。



多くは望まない、ただこれからもここにいてくれれば。



そう思っていたのに。



「.........ぉす」



小さな小さな声で、本当に蚊の鳴くようなか細い声で



彼がそう言った。