Dear…愛する貴女よ




「ん、もうっ、ネクタイ曲がってるよ!?」

ゆりはそう言ってオレの曲がっているらしいネクタイをきゅっと締め直す。


「・・・・オイ・・」


「あ・・」


余計に曲がってんじゃねーかよ・・。


「あ・・あはっ・・」


ゆり自身も引きつり笑いでごまかそうとしている。

『あはっ』じゃねーよ・・まったく不器用だな。



「今日の卒業式、あとで絶対に見に行くね」

ものすごい満面の笑みでそう言った。


いやいやいやいや、こっ恥ずかしいから勘弁してくれ・・。


もうオレはいたたまれなくなって家を出た。


「いってらっしゃーーーい」



「・・・いって・・きます・・」



慌ただしい朝。

それもとりあえず今日で一区切り。


今日は高校の卒業式だ。

なんだかんだとこの一年がオレにとって人生の大きな節目だった。


ゆりと出逢って、恋をして、悩んで苦しんで・・・その上自分の将来のことまで乗っかってきた。

そして・・・オレは親になった。