「オイ」

オレは隣にいたヤツに声をかけた。

「んだよ」

「こないだオレの弁当持ってきた女・・どう思う?」

さりげなく聞いてみた。

「おお・・あの女か?お前、ありゃー、めちゃくちゃいい女じゃねーか?なーーーんかどこまでも純粋って感じ?イマドキいねーよなぁー・・」


・・・そうだよな・・。

いい女・・・なんだよなぁ・・・実際・・。


「なんだよ啓、マジで惚れたか?めずらしいじゃねーか」


「ばっ・・!バカヤローーっ!ふざけんな!」

ママハハだぜ?

でも確かに昨日の夜は誰の女でもない1人の女として・・惹かれた。


似合わない酒を飲んで、気怠そうにしていたゆりは誰よりも・・綺麗だった。

親父の女とは思いたくない。



オレが一番認めたくないことが今・・・わかった。


ゆりの心が欲しい・・。


心も体もすべてが欲しい・・。


・・・好きだ・・。











「ただいま」

オレは憂鬱な気分で帰ってきた。

どう思っているだろう・・。裸で、しかもオレの部屋で寝てるなんて・・。


「おかえりなさい、啓くん」