くそっ、ゆりのやつ・・。

やたらカワイイ顔してオレの顔を覗き込んでやがる・・。

「あ・・あー」

オレはこのゆりの無邪気な笑顔にめっぽう弱い・・。

そんなオレはついついゆりの頼みをきいてしまった。

「んじゃ、いこっかっ」



オレとゆりは玄関を出て市場の方向のちょっとした問屋街に来た。

ゆりが脇目もふらず一件の八百屋へ向かう。

「おじさーーんっ、今日のおすすめなーにっ?」

「おーーっ、ゆりちゃんっ、今日はまたご機嫌だねっ」

なっっ、コイツ・・八百屋のオヤジと仲良くなってやがる・・!

なんだかやたら常連っぽいし・・!

「ゆりちゃんっ、オマケしといたよーっ」

「わー、ありがとっ、おじさんっ」

な・・慣れてる・・。

つーか慣れ過ぎだろ!?

「おまたせっ、啓くん、次は肉屋さんかな」

ゆりはそそくさと歩き始めた。

なんだか周りの店がみんなゆりを見ている。

「よっ、ゆりちゃんっ、今日魚どう!?」

は!?

「ゆりちゃーーん、卵買っていきなよっ、今、安いよーーっ」

はぁー!?

「ごめんなさーーいっ、今日お肉なのーー」

オイ・・。

コ・・コイツ・・一体、何人と知り合ったんだ・・?

オレの様子も明らかに無視してゆりは肉屋へと歩いた。

「ゆりちゃんっ、今日は肉だってぇ・・?うれしいねーっ」

な・・肉屋までもか!?

・・お前・・サザエさんじゃん・・。