私は二宮が好き。
喋った事ないし、関わりもなに一つない。

だけど、彼が優しいことは誰よりも知っている。
だって私の一目惚れした人だから。

こんなことを考えてたら数学の授業が終わった。


「起立 礼 」

立とうとした。
立てなかった。

痛い。

さっきよりずっと。

意識が遠のく。

"バタッ"


亜茉が私を呼ぶ声がする。

大好きな二宮が私の名前を呼んでる。

なんて幸せなんだ。


「亜蘭ちゃーん、聞こえるかな〜?」

目が開いた。

周りには泣いてる亜茉と母がいる。
そしてなぜか二宮も。

「亜蘭ちゃん、わかる?」

「横山先生?」

私の主治医が立っている。

「ほんと、目が覚めてくれてよかったよ。目の前で倒れるからびっくりした。」

二宮と始めて喋る場所が病院なんて。
なんてついてないんだろう。

「ごめんね、もう大丈夫だから
2人とも帰って大丈夫よ。」

2人は病室を出た。

「亜蘭ちゃん。大丈夫かな?
いろいろ検査してもらおうと思ってて、
検査入院してほしいんだ。」

「また入院ですか?」

「うん、何回も来てもらうより絶対いいと思うから。」

「わかった、すぐ退院できすよね?」

「検査結果が出たらね。」