"カンカンカンカン"


「はやく起きなさいよ
始業式から遅刻すんじゃないわよ。」


朝からうるさい祖母の声


もう少し静かな起こし方ってないの?

なに今時フライパンって。

「うるっさいなあ。
もう起きるから。」


私は重たい体をベッドから起こした。


今日から中3になる。


リビングに降りて じぶんで朝ごはんを作る。
これが私の毎日。
誰も朝ごはんを作ってくれない。

「おはよう。みき。」

「うん、フライパンで起こすのどうにかなんないわけ?」

「知らないよ そのうち落ち着くっしょ。」

焼き上げたベーコンと目玉焼きをお皿にうつしパンにチョコクリームをぬる。

テレビの前に座り込んで朝から
録画したドラマを見る。


こんな毎日がずっと続くと思ってたのに
こんな毎日が幸せだともっとはやく気づけばよかった。


念入りにストレートアイロンで髪を巻き
色付きのコンタクトを入れて親の迎えを待つ。

「おはよ、まま。」

「おはよ。亜蘭、お弁当忘れてないでしょうね?今日ハンバーグでしょ?」

「ちゃんと持ってきたよ。」

私にはアレルギーがある。
挽肉と鯖と鰆と………。
とりあえずたくさん。


姉のみきを駅まで送り届け、
私のバス停まで送る。
私はスクールバスに乗り母はまた職場に向かう。


バスの中では寝るか大好きなアイドルのドラマを見る。

学校に着いたら向かう場所は保健室。

私たち3年の溜まり場。

「おはよ〜亜茉〜!」

「おはよ〜亜蘭!」

「昨日のガムシャンみた!!?」

「もちのろん!ちょーかっこよかった〜」

亜茉のおかげで私はアイドルを好きになった。

"キーンコーンカーンコーン"


「やばっチャイムなったんだけど!?」

「うちの皆勤賞がぁぁ〜」

「ダッシュダッシュ!」

ただ毎日笑って楽しくてこんな日々が永遠に続くと思ってたのに。