その時だった。 あたしの視界を闇に染めたのは 「お前 闇になりたいのか?」 綺麗で透き通る低くて威圧感のある男の声が頭から聞こえた。 顔を上げても 暗闇で見えない男の顔。 いつまでたっても 答えないあたしに呆れたのかため息を吐いてから。 「もう一度聞く。お前 闇に染まりたいのか?」 その瞬間 男はあたしの目の前から消えた。 『っ…』 声を出すのも忘れていたあたしはすぐに後ろを振り返る。 やはりそこには さっきの男。