「……な……に?」
ふと、音もなく止まった。
開かれているのは何も書かれていない真っ白なページ。
その中心に、キラキラ光るものが集まり始めた。
夜空の星をかき集めたようなその光は、ひらひらと宙を舞い、文字へと姿を変えた。
真っ白のページに金色の文字が書き込まれていく。
“はじめまして。私はこの本の主人公アン。杏奈、びっくりさせてごめんなさい。”
ん?
えっ?
ちょっと待って?
私今、この本の主人公に話しかけられ……てる?
ていうか、何で私の名前知ってるの?
“ごめんなさい。そりゃあびっくりするわよね。きちんと話をしたいから、私をここから出してくれる?このままここでお話ししていたら、この本の白いページが無くなっちゃうから。”