それから私達は午前中の授業を終え、屋上で昼食を食べている。




「私が持っているのはこれ。」




そう言って黄色い本を志帆に差し出した。


ほんとだ……と小さく呟きながら、パラパラと本をめくっていく。


そして考え込むような顔をして、それを私に返した。




「主人公が違うから、少しだけストーリーも違うみたいだね。」


「うん。でもどうしてだろうね。題名も作者も書いてないから、店で買ってきたとは思えないし……。」




その時、膝の上に置いていたその本が、突然パラパラとめくれ始めた。


風なんて吹いてないのに。


驚いて隣を見ると、志帆の青い本もぱらぱらとめくれていた。