私と志帆は幼なじみだ。
初めて会ったのがいつかなんて覚えてない。
気が付いた時にはもう隣にいた。それぐらい長い間一緒にいる。
「あれ?志帆、その本どうしたの?」
ふと、英語の教科書の上に重ねられていた青い本に目が行った。
表紙には何も書かれていない。
「あっこれ?いつだったかな…昔誰かから貰ったんだよね。結局全然読んでなかったんだけど、この前部屋の整理してたら出てきて、読んでみたらハマっちゃったんだよね。」
「へぇ……見して?」
「いいよ、はい。」
差し出されたそれを手に取る。
分厚い青い本。めくってみて、私は目を丸くした。
「……志帆、この話って……。」
「あれ、知ってる?ドイツに住んでるシーナとアンっていう女の子のお話。」