少しの間走っていると、森が開けた。
目の前にいたのは、しゃがみ込んでいる女の人と、彼女に銃を向ける男。
男の服装からして、明らかにナチス側の人間だった。
「銃を下ろして。」
冷たい、それでもどこか威厳のあるアンの声が響いた。
視線を女の人からアンに向けた男が低い声で言う。
「なんだ、貴様。」
「アンよ。年は18。そんなこと聞いてどうするの?あなたに何か分かるわけ?」
「うるせーな!生意気な小娘め!!」
挑発したようなアンの言葉に、怒りを露わにした男が銃をこちらに向けた。
その瞬間、アンは地面を蹴って飛び出した。
一瞬で男と間を詰め、ナイフで銃を弾き飛ばした。
「……っ!」
焦ったような表情をした男の首に、すっとナイフをあてる。