どんどん奥に進んでいく2人。
すると突然、幸せそうな笑顔を浮かべる2人の近くで、女性の叫び声が聞こえた。
「いやぁぁぁ!!お願いやめて!!助けてぇぇ!!」
考えるよりも先に走り出していた。
「アン!!」
リダの叫びを聞きながらも、自分の足は止められなかった。
人に見られないようにワンピースの中に隠してあるベルトから、短いナイフを引き抜いた。
その瞬間、私の心にアンの心が流れ込んできた。
“許せない。きっとナチスだわ。またユダヤ人の人々を傷つけて……。”
アンの純粋な怒り。それが私を満たしていった。