近くの山に着くと、2人はさっそく木の実を採り始めた。
木の枝で出来たカゴに2、3個ずつ手にとって入れていく。
リダは木に登って、桃を採っていた。
幸せな時間。
楽しくて楽しくて仕方がない……はずなのに。
胸にじわじわと広がるこの不安はなに?
体が震えるくらい恐ろしいこの感覚はアンのもの?
それとも私?
「アン。もっと奥に行こうぜ。この辺はもう採られた後みたいだ。」
「そうだね。」
嫌だ、行きたくない。
行っちゃだめ。
心の中でどんなに願っても、アンの記憶を見ているだけの私にはどうすることも出来なかった。

