「リダって分かる?」




……リダ。


アンがずっと好きだった男の人。





どんなにひどい人間でも、自分の手で人を殺したことに変わりはない。


体の全てが、人を殺した感覚を覚えているんだ。


ユダヤ人の人々を助けるためだと思っても、胸にぽっかりと開いた穴が埋まることはなかった。





でも、そんな彼女の心の支えとなっていたのがリダの存在だった。


彼女と同じく高校生だったリダは、ユダヤ人の人々をかくまうために近所の使われていない倉庫を掃除したり、食料を届けたりしていた。




「私は誰よりも彼が好きだった。誰よりも彼が必要だった。でも、私達は引き離された。最悪の形で。」