恵は多分わざとおどけてみたんだろう。 その理由はきっと 私がこのパンフレットを見た瞬間に 表情が曇ったからだ。 「俺、こうゆうの嫌いなんだよね」 そうゆう恵に対して私も同感してしまう。 「だよね。 …こうゆう安っぽい映画大嫌い。 最終的にはくっつくくせに……あ」 私はハッとした。 言いすぎたよね? せっかく蘭さんからもらったチケットなのに。 「じゃあやめる?」 その冷たく響いた恵の声は 私の胸に突き刺さった。