「外野から見ていた
私が言うのもなんだけど
瞬くんすごく実侑ちゃんのこと考えていてね、
時々羨ましいなって思って。
どんな子なのかなって
会う日を楽しみにしていたんだけど…
遅くなっちゃってごめんなさいね」
彩乃さんの笑った顔は瞬に少し似ている。
だからかな?
すごく安心するの___
瞬。
どうして、今まで黙ってたの?
どうして、こんな事になるまで何も言わなかったの?
ボロボロと溢れてくる涙は止まらなくて
私はやっぱり瞬の事になると弱いんだな
って思ってひたすら思い出す。
瞬のこと。
「…ずっと瞬くんに言われて
秘密にしていたんだけど。
もう、良いわよね」
彩乃さんは私を優しく抱きしめながら
そんなことを言って
さっき持っていた黒い手提げを
私に差し出した。
「これ、瞬から実侑ちゃんに」
彩乃さんはそれだけ言って
また私を抱きしめてくれた。
葬式の時は全然泣かなかったのに。
どうして今頃…
涙なんて出てくるんだろう。


