真っ黒な服装を身に纏った人たちの

行列が私の目の前を通り過ぎる。



呪文のようなお経や

倒れこむようにして泣く声は

私の耳には入ってこなかった。



ただ私の視界をいっぱいにしていたのは

黒い額縁のなかに入った

私の大好きな笑顔の瞬の写真だった。




涙は枯れ果てたのか

泣き虫だった私の目からは

なにも溢れてこないで

ただただ目の前を通り過ぎる人たちに

頭を下げるのでいっぱいいっぱいだった。