瞬に抱きしめられたからだ。 力強く抱きしめる瞬に私は ギブアップですと言うかのように 瞬の背中を叩いた。 「しゅ」 「…なんで」 瞬の名前を呼ぼうとした時 呟くような瞬の声が聞こえ 私は口を閉じた。 「なんで…いち…の…」 「瞬?」 今瞬はなんて言ったの? 声が小さすぎて聞こえない。 もう一度、聞こうと思った瞬間 瞬は私をギュッと潰れるんじゃないかと 思うくらい強く抱きしめた後 こう言った。 「なんで先に一夜に言ったの?」