「恵が聞いてないのが悪いんでしょ」
ちょっとは詫びろよ。
バカ姉貴。
「ちょっと、詮索は良くないわよ」
キッチンからいきなり母さんの声が
聞こえてビックリした。
いたのかよ。
「詮索じゃないのよ。お母さん。
私達はただ、本当のことが知りたい
だけだし」
「それも立派な詮索よ」
母さんはそう言って
リビングから出てきた。
プクッと頬を膨らませて出てきたのは
いいんだけど。
右手に持っている包丁が怖い。
「実侑ちゃんいい子じゃない。
茜くんの面倒だってみてるし。
優しいお母さんだと私は思うわよ」
母さんはそう言う。
それに続けて俺も言う。


