「私から茜を取らないで。 私には茜しかいないの…」 実侑はそう言って泣き崩れていった。 初めて見る 実侑の全てを曝け出したような 感情。 「落ち着け、な。 茜は俺んちで寝てる」 「…そう」 実侑は俺の言葉にホッとすると 全身から力が抜けていくように 倒れていった。 俺はとっさ実侑が倒れないように 腕で支えた。 「…あっぶねー」 俺はまた実侑を寝室に運んで 家に帰った。