これ以上恵といると 情けない部分たくさん見せてしまう。 …そんなの絶対に嫌だ。 私はボソッと呟くように椅子から立った。 「…帰る」 「え?」 「帰る!」 恵に腕を掴まれたが 反射的に振り払ってしまった。 今の自分の顔を見られたくなくて。 もどかしくて。 そんな感情を捨てたくて。 私はただ夢中になって走った。 どこへ向かっているのかは 分からない。 とにかく今は1人になりたかった。