「季蛍……。時間」
「ヤダッ。行かないで…」
「……季蛍」
「ごめ……ん。」
グス、とタオルで涙を拭いた季蛍が
「……二週間後、帰ってくるよね?」
……なんてことを聞くんだ、と思ったが、
「帰ってくる。……帰ってきたら…なんでもしてあげる」
「……じゃあ抱きしめてね?」
「…当たり前だ。」
「……やっぱ…いっちゃ……や」
結婚記念日を控えているからこそ、二週間が長く感じるんだろう。
いつもなら、一週間ほどでこうにはならないから。
「……じゃあ、季蛍」
抱きしめた体を離した。
「……行ってくるよ」
「…グス、…いってらっしゃい」


