それから夏来が眠って、愛優も勉強を終えたみたいで。
家の中は静まり返った。
ただ、寝室から聞こえる咳込み。
そろりとドアを開けてみれば、酷く咳き込む蒼。
久しぶりにみたな、あんな蒼。
「あー……のぉ…」
ドアの隙間から顔を出してみる。
「……蒼?だいじょぶ?」
「……ハァッゲホッゲホッ」
「……大丈夫じゃない…じゃん。」
「季ッッ……ゲホッ…蛍ッ」
「……熱…あるの?」
「……7度ゲホッ、ゲホ……8分」
「……あー…そうなんだ。」
「悪いんだけどさ……ッゲホッゲホッ……
ちょっッゲホ、ゲホ……とさ、薬と水くれる?」
と言われて、
「わかった、持ってくるね。」
とキッチンへ。


