ピピピピッ ピピピピッ
体温計が鳴り響いたので、目はファイルのまま左手だけを高島に差し出す。
なかなか手に体温計が置かれないので、左を見れば体温計の表示を消そうとしていた。
「こーら。…見せなさい」
「……お母さん口調」
と呟く高島が、また消そうとするから、その手から体温計を奪う。
「あぁっ」
「……38度1分。」
「…………」
「隠すほどじゃないだろ」
「だって」
「出た出た出た。『だって』。
季蛍も使うの、だって。
あーもう…、げーきーにー」
「激似なんかじゃないです!!」
「だって、とかもう、とか。」
「い、言ってませんよそんなこと」


