薬も持っていないから、どうにもできない。
一応今日の仕事はここまでだったから、あとは帰るだけなのだが、こんな体で帰れそうにもなくて。
事務所のソファに腰掛けてしばらく気分落ち着かせていた。
「あら?陽ちゃん。大丈夫?」
異変に気づいてくれたらしい職場の人。
私より上だけど、優しくて気さくな方だ。
「……大丈夫です」
微笑みをかけるけど、
「大丈夫、ではなさそうだけど。……なんだか顔色も悪いわ。
……本当に平気?」
「……わかります?」
「私、子供いるから。慣れちゃって。
…にしても、わかるわよ。気分、悪いの?」
「……少し気持ちが悪いだけで」
彼女はソファの隣に腰掛けて、背中をさすってくれた。