振り上げられた手を避けようとして、体を動かすと、 ガッシャーーーン と酷い音を立てて、処置室の器具が入っていた箱が落ちた。 「……俺さぁ仕事決まんなくてイライラしてんだよね。 季蛍さん、俺最初は好きだったけど。今はもうムカつく。 見てるだけでイライラする。 季蛍さんも仕事クビになればいいのに。だとわかる。この辛さ」 彼の顔は、少し悲しそうだった。 だけど、また振り上げられた手。 ………誰か来て。