椅子に座る季蛍を抱えて、俺はベッドに季蛍を寝かせた。
「やめてッ……」
「動くな。誰かいるー?」
といいつつ、服を上げた。
脇腹辺りを見て、深く溜め息を吐く。
奥からファイル片手の島内さんが顔を出す。
「季蛍のこと、押さえてて」
「…え、え?」
完全に怒っている俺は、島内さんにまでも鋭い声で言ってしまう。
島内さんが動揺しながらも、ファイルを机に置き、ゆっくり季蛍に近づく。
「……俺、ちょっと呼んでくる」
……誰を?
と聞きたそうな島内さんをあとに、診察室をでた。
今思えば、嫌がる季蛍を押さえつけろと、言われた島内さん……気まずかっただろうに。


