「蒼~蒼~」
背後から声がして、振り返ると港が。
「蒼さ、季蛍さんどうしたの?」
「え?季蛍どうかした?」
「…どうかしたっていうかさ。……なんかすごい戻してるけど。
トイレに駆け込むの見えて。トイレから出てきたら相当顔色悪いし、何、季蛍さん寝かせてたの?」
「あー……うん。あとで高島に診てもらうつもり」
「そう、ならいいんだけど」
「…………」
港が抱える子が、港の白衣に顔をうずめていて……
「って果織ちゃんじゃん!!」
「……は?」
「果織ちゃん。……俺ずっと探してた」
「そーなの?ごめんごめん」
「なんで脱走なんかするの。」
港の腕の中から抱え上げようとするけど、港の白衣を掴んで離さない。
「果織ちゃん。今から検査だってば」
「やッ。やらない」
「脱走までしてそれはないでしょ。果織ちゃん。
…ほら、おいで。怒らないから」
「やだッ」
港の白衣を掴んで離さないし、俺の手は払いのけるし。


