部屋の中に、患者さんの咳払いがたまに響くぐらいで、シーンと静まり返っている。 「…蒼先生、処置終えられたら帰られてもいいそうですよ」 宮川さんが笑顔で言う。 「あ、そう。わかった」 相変わらず隣の部屋からは少々キレ気味の高島の声と、嫌がる季蛍の声が聞こえる。 「…………季蛍先生、体調崩されてるんですか?」 「…本人曰く7度なんだけど。それも嘘かもしんないけど」