「季蛍が今…自分を追いつめてるようにさ。
蒼くんも今自分、追いつめてるんじゃないの?
…季蛍が家出するくらいまでになったの、初めてだろ?
初めてのことって皆慣れてないし、皆初めてのことはわからなくて当然。
だから今、季蛍も悩んでるんだよね。今。
……蒼くんも悩んでるだと思うよ。
初めてだから。季蛍を離したこと」
「………」
「蒼くんが離したの、初めてだろ?
季蛍だって初めて離された。
ならどっちかがくっつかないとダメなんだって。
今季蛍は蒼くんから逃げてきたけど、今度はくっつく側にならなきゃ。
取り返しがつかなくなる前に。」
「…お兄ッ……ちゃん」
「………たまにはあるよ。そんなこと。
っていうか普通だよ。……たまに離れることなんて。
家で話し合った方がいい。」
「…………うん」
「プチ家出してないで早く家帰れ。…送ってくから」
「いい、だいじょぶ」
「んなこと言ったって外暗いだろ?……また変な人にあったらどうすんだ。」
「……」
「ちゃんと謝ること。……それと、絶対戻ってきたらだめ。俺のところに。
…逃げたくても蒼くんと話さなきゃダメだよ。」
「………ん」
「……いつでも来ていいから。
だけど今回は戻って来るなよ?」
「……わかった」


